2017年はベトナムに始まり、カンボジア、ドイツ、チェコ、アメリカ、ドイツ(2回目)、そして最後にポルトガル、と今までの人生では考えられないようなくらいに世界を周ることができた。どれも弾丸なので、ゆっくりと滞在というわけにもいかなかったが、海外でも写真を撮っていくことに対する意欲は高まっている。

世界を周ってみて強く感じたことは、「行ってみて良かった」ということ。写真を仕事とするまでは、正直海外というのは自分には関係ない(パスポートも持っていなかった)と思っていたけど、2016年から定期的に海外へ行くようになってからは、視界が大きく開けた(気がする)。お金はかかる、言葉もわからない、安全面への不安など、いくつかのリスクがある中で、いったいどのような写真が撮れるのかという課題は、自分を試すには良い機会となっている。

Scene01 – リスボン Lisbon

2017年の年末は、ドイツで過ごし、ポルトガルで年を越した。フランクフルトからリスボン行きの便の出発が3時間以上遅れ、フランクフルトの空港内で途方に暮れていたわけだけど、夜中リスボンに着くなり、街の雰囲気の素晴らしさに写欲が高まり、夜のストリートを撮り歩いた。

実はリスボンでは義弟と合流し、案内してもらっていたのだけど、街中は年末のお祭り騒ぎで、人がそこらじゅうに溢れていた。建築物や人のリズムが刺激的で、とてもフィーリング良くスナップを楽しむことができた。印象としては人々は明るくて、非常に友好的。年中温暖でもあるようで、「太陽の国」と称される所以も理解できたのであった。

リスボンでは、ロシオ(Rossio)駅近辺のホテルを拠点にスナップを撮っていた。先入観なくポルトガルに来たこともあって、初めて歩く街に心を躍らせながらとにかく歩き回った。夜のリスボンは、オレンジの街灯が効いていて、好みの雰囲気だった。新しすぎず古すぎない街並みや、人々のドラマがたくさん詰まっているような裏通りを見て、この街を撮り続けたいと思った。

リスボンのハイライトは、なんといってもケーブルカー。坂道を行き来するケーブルカーが街の景観のアクセントとなっていて、この場所にはずっといたいくらいだった。

Scene02 – ポルト Porto

ポルトガルの首都・リスボンから、電車で約3時間。ポルトガル第2の都市・ポルトへ向かった。リスボンと同様、ポルトはヨーロッパサッカーファンにとっては、お馴染みの街。まさか訪れることができるなんて思っていなかったので、とても嬉しかった。

ポルトの街では、世界で最も美しい駅の一つ「サン・ベント駅(Porto São Bento)」、世界一美しい本屋と言われる「レロ書店(Livraria Lello)」、世界遺産「ポルト歴史地区」に含まれている「ドン・ルイス1世橋(Ponte Dom Luís I)」、展望台へ。残念ながら本屋の前には行列ができており、入店に数時間かかるようだったので、今回は断念した。

サン・ベント駅は、ポルトの人気観光スポットで多くの観光客がいた。青と白の装飾タイル(アズレージョ)が構内の壁を彩っていて、いわゆる「映え」だった。

ポルトガルの歴史のシーンが描かれたタイルは重厚さと美しさがあって、それがまたアートになっている点は、ヨーロッパならでは。駅の横にあったカフェも美味しかった。

この日は年末の大晦日。ポルトの街中はとても活気があって、ドン・ルイス1世橋へ行く道中もスナップを楽しむことができた。天気は雨予報だったけど、なんとか降らずにもってくれた。

ポルト歴史地区は、世界遺産に認定されていることもあって、街並みはとても美しかった。まさにヨーロッパというような景観で、運河沿いは爽快感もあった。ただ、ポルトは本当に石畳の坂道が多くて、足にかなり負担がかかった。4万歩ほど歩いて膝にもきていたので、もうこれ以上歩きたくないくらい。たくさん歩くとなると、普段から足腰を鍛えておく必要があるかもしれない。

ポルトは家々の壁の色が特徴的だったり、カラフルな洗濯物が目立った。統制された並びの中に、色使いなど日本とは異なる建築物が多いため、minimalやvividな写真を撮りたい方にもオススメしたい街だ。

Scene03 – ナザレ Nazaré

ポルトで一泊した日は大晦日だったため、年越しのカウントダウン花火や、若者が町中で騒いでいて、なかなか寝ることができなかった(いや、本来そのシーンを撮るべきだった)。元旦の朝は早めに起きて、次の目的地であるナザレ行きのバス乗り場を確認。ポルトから約3時間でナザレに到着した。

無事ナザレに着いたはいいけど、予約していたアパートメントの管理人が、本来いるはずの場所におらず、かなり焦った。通りすがりのおばあさんに困っている旨をなんとか伝えると、たまたま管理人の人と知り合いだったようで、連絡をとってくれて事なきを得た。

ナザレ初日はケーブルカーに乗って、夜スナップと夜景を撮影。

ナザレというと「サーフィンスポット」として世界的に有名で、日本でもTVを見ているとたまに巨大波やサーフィンの特集で出てくることがある。僕が行ったときは、サーフィンをしている人はそれほど見かけなかったけど、波は恐ろしいほど高かった。

リスボンやポルト同様に、洗濯物が景観の一部となっていたことや、街行くお年寄りの女性が身に付けていた民族衣装(?)が独特で印象的だった。どうやら既婚の女性、未亡人で衣装が違うようだ。とても可愛らしかったので、ぜひこれからナザレに行かれる人には、民族衣装にも注目してみてほしい。

ナザレからリスボン行きのバスまで時間があったので、最後にまたケーブルカーに乗って、展望台へ向かった。ナザレの街並みを一望できて、とても美しかった。屋根のカラーが統一されていて、景観が素晴らしい。ヨーロッパらしい風景を観ることができた。

ナザレは夏になるとバカンスで訪れる方が多いようだ。街の中に入れば、民族衣装を着た女性を見かけることができると思うので、ヨーロッパの独特の生活文化をスナップしたい方にオススメしたい。

Scene04 – モンサント Monsanto

ナザレから一旦リスボンに戻って、翌日ポルトガル最後の目的地へ。バスに2回乗り換えて、ようやくたどり着いた「モンサント」という場所は、日本には馴染みのない地だと思うけど、ポルトガル観光では知る人ぞ知る名所らしい。(僕は義弟に教えてもらうまでは実は聞いたことがなかった)

モンサントという場所が近づくにつれて、とんでもない場所へ来てしまったと思った。巨大な岩が積み重なり、山のようになっていることにも驚いたし、そこで人々が生活している。どうやらポルトガルで「最もポルトガルらしい村」に選ばれている村で、「ヨーロッパの美しい村30選」となっているらしい。

モンサントからの眺めはとても美しく、日本ではなかなか味わうことのできない体験だった。僕も田舎を拠点にしているけど、田舎の村がこれだけ多くの観光客を集めているのは、きっとこの土地が大切に守られているからだろう。ちなみに岩場を切り開いたような場所に家々が建っているので、ホテルも例外ではなかった。

まさに巨大な岩と共存。ホテルの壁に貫通(?)しているのには驚いたけど、モンサントならではの時間を過ごすことができた。

リスボンから移動に半日かかるので、簡単に行ける場所ではないとは思うけど、ぜひ興味をもっていただいた方には一度訪れてほしい場所。昔ながらのポルトガルの生活に触れることができたようで、満足の旅となった。

世界はいつも僕を驚かせてくれる。とても貴重な体験となった。

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