長かった祭りシーズンを終えて、2023年も年の瀬を迎えた。
GWが過ぎた頃にコロナ禍は明け、今年から祭りが完全復活したという地域も多かったと思う。7〜8月の猛暑を果たして乗り越えられるだろうかと不安もあったが、こうして無事今年の祭りを振り返られることに安堵の気持ちでいっぱいだ。今回は撮影した写真と共に、今年の祭りを振り返りたいと思う。
今日もどこかで祭りが行われている
コロナ禍前は能登を中心に北陸の祭りを撮っていたが、少しずつエリアを拡げていきたいという計画もあったので、今年は東京・東海・関西・九州の祭りにも足を運んだ。見たことのない祭りを個人的に見てみたいという興味や、祭りを撮る上・語る上で井の中の蛙になってはいけないという思いもあり、たくさんの刺激を受けてきた。やはり地域が違えば、人が違う。方向性は同じでも、全く異なる見え方がして、とても新鮮に映る祭りも多かった。
日程が重なってしまう祭りが数多くあるので、僕の「行きたいリスト」で行けていない地域がまだまだある。リサーチしていて改めて驚く日本の祭りの多さ。日本のどこかで今日も祭りが行われている。だから僕は日本のどこかで今日も祭りを撮っていたい。そんな風にぼんやり考えることが多いのだが、将来的には拠点も変えていきながら日本全国(そして世界)の祭りをまわってみたいと思っている。
改めて感じた「記録」の価値
今年は「制限のない開催」という祭りが多かった。コロナ禍の数年というのは推しはかることのできないくらい、長い期間だったと思う。進学や就職などで地元を離れたり、生活環境が大きく変化された方も多いだろう。本当に色々な想いでこの時期を過ごしていたと思うので、久しぶりの祭りで見た溢れる笑顔は本当に印象的だった。
反面、ブランクを感じる場面もあった。元々過疎地では高齢化が進み、祭りの継承が難しくなっている地域もある。祭りをしようと気持ちがあっても、人手や準備が足りない場合があり、今年も中止(または神事のみ)という祭りが能登にはいくつかあった。地域の青年団などがSNSで繋がり、お互いの地域の祭りを助け合っているという事例もあるので、そのような活動が少しでも広がると良いなと思う。
祭りによっては写真を撮りにきていた人が僕しかおらず、物凄く珍しがったり、とても喜んでくださったことがあった。「いつも写真楽しみにしています」という言葉は僕自身のモチベーションにもなった。
祭りは地域の人ひとりひとりが主役だと思っている。カメラを向けたときの笑顔は僕も忘れられないし、記録としてもずっと残していけるもの。地域の人にとっても、僕にとっても大切なものになると嬉しい。
コロナ禍があったからこそ、改めて「継承」の難しさを感じたわけだが、同時に「祭りが行われたこと」や「この場所にいたこと」の記録としての価値にも気付いた。「あのとき祭りを撮りにきていたのはこの人か!」と喜んでいただけるように、僕もフォトグラファーとして飛躍していきたいと思っている。
祭り写真で振り返る
今年に入ってからは毎週のように祭りへ行っていた。僕自身、今年は祭りやイベントの撮影で120以上の稼働だった。撮影のご依頼・契約が事前にあった祭りもあれば、個人的に撮りたい祭りもある。一つ一つが僕にとって大切な撮影機会。今回は夏以降に撮影した祭りを厳選して紹介したいと思う。
あばれ祭@石川県能登町
不動滝の滝開き@石川県中能登町
博多祇園山笠@福岡県福岡市
金津まつり@福井県あわら市
YOSAKOIソーラン日本海 加賀会場@石川県小松市
松波人形キリコ祭り@石川県能登町
水無月祭り@石川県輪島市
金石夏まつり@石川県金沢市
YOSAKOIソーラン日本海 百万石会場@石川県金沢市
若狭能倉座の神事能@福井県若狭市
福井フェニックスまつり@福井県福井市
輪島大祭@石川県輪島市
福浦祭り@石川県志賀町
にわか祭@石川県能登町
原宿表参道元氣祭スーパーよさこい@東京都渋谷区
高円寺阿波おどり@東京都杉並区
おわら風の盆@富山県富山市
千里浜祭り@石川県羽咋市
小木袖キリコ祭り@石川県能登町
お熊甲祭@石川県七尾市
きつね火まつり@岐阜県飛騨市
富山まつり@富山県富山市
唐戸山神事相撲@石川県羽咋市
太田の獅子舞@石川県羽咋市
慈光院の火渡り法要@富山県小矢部市
YOSAKOIソーラン日本海 全国大会@石川県宝達志水町
ハロウィン&よさこい@富山県魚津市
YOSAKOIソーラン日本海 金沢港開港周年記念イベント@石川県金沢市
いどり祭@石川県能登町
木幡の幡祭り@福島県二本松市
アエノコト@石川県能登町
池ノ上みそぎ祭@岐阜県岐阜市
遠山の霜月祭り@長野県飯田市
花祭@愛知県東栄町
今年は祭りのドキュメンタリームービーを一本でも多くつくりたいと思っていたので、可能な限りムービーも撮った。YouTubeはもっと頑張りたいので、ぜひチャンネル登録してご視聴いただけると嬉しい。
ベクトルを自分に向けた一年
2022年にSONYのサイト「NEW generation」や、CURBONのWEBマガジン「ENCOUNTER」に出させていただいたり、パリ・ロンドン・ニューヨークなど国際的なフォトコンテストで上位入賞を果たすことができた。「自分はいったい何者?」という論争(コンプレックスのようなもの)が僕の中でずっとあったのだが笑、名前を残すことができたことによって「何者かにはなれた」という気になった。
これは慢心しているわけではなく、僕の中で「フォトグラファー」としてスタートラインに立てたという感覚だ。石川県の能登を拠点にして、何もないところから始めたことが形になり始めた。だからこそ、これからの自分はどうなっていきたいかということを考えたとき、他者からの評価よりも自己満足度の高い写真を撮り続け、常にベストを尽くしたい。そして明日からの撮影機会は全てがノビシロでありたいと思う。成長意欲があれば、もっともっと海外での展示などにも参加できるかもしれない。
「人は人、自分は自分」というと冷たいような印象をもたれてしまうかもしれないが、ベクトルを自分に向けることによって、何もなかったところに少しずつ「自分だけの道」が開けていけているように思う。
来年は祭りを紡ぐ新プロジェクト
前述したように、将来的には拠点も変えていきながら全国の祭りをまわってみたいと思っている。そして祭りに特化したプロジェクトを形(事業)にしていけるように現在WEBサイトを制作中だ(←来年はじめには公開できると思う)。祭りを撮っていて常々思うのは、撮影を続けるには気力・体力・財力も必要だ。ご依頼の本数や、ご契約いただける自治体・団体様などをもっと増やしていけるように尽力しようと思う。
今年は数年ぶりにフル稼働して祭り写真を撮り続けた。祭りと出会い、新たに人とも出会い、とても充実した時期を過ごすことができた。祭りというのは日本の素晴らしい文化だ。地域や人の潜在的な魅力を祭りの写真を通して伝えていきたい。