次々と祭りの中止が決まっていく。
日本国内では、今年の2月あたりから新型コロナウイルス感染の報道が連日行われるようになった。「リスクマネジメント」という言葉があるけど、日本の国民性を考えると、もっと良い指導・管理が行われていれば、もう少し感染を抑えられたのではないかと思っている。個人的に、宿泊や飲食業を営まれている知り合いが多いため、今の状況はとても心苦しい。また、写真やデザインなど広告業に携わる僕自身も決して他人事ではなく、今後どのようなビジョンをもてば良いのか、とても悩ましいところだ。
感染が拡大してしまっている現在は「不安」しかなく、当たり前のようにあった日常が戻ってくるのかもわからない。この状況で奮闘されている医療従事者の方々には、心から感謝の気持ちを伝えたい。本当に終息を願うばかりだ。
能登を代表する祭り「あばれ祭」が中止に
昨年に「撮りに行きたい祭り計画」というJournalを書いた。
僕は3月から、祭りや神事の撮影を自粛しているため、結局もっそう祭り(2月16日)を最後に撮ることはできていない。世の中の状況から少なくとも春から夏にかけて、祭りは中止(自粛)になると思っていたので、心の準備はできていたつもりだったけど、いざ楽しみにしていた祭りの中止が決まると、心にポッカリ穴が開いてしまったような気持ちになる。一年中祭りを撮ることばかり考えていたので、祭りを撮ることがどれだけ僕の中で大きいことだったのか、改めて感じたのであった。
そして「あばれ祭」中止の知らせ。
石川県能登町の宇出津(うしつ)で毎年7月に開催される「あばれ祭」は、能登を代表する祭り。7月から秋にかけて能登半島各地で行われるキリコ祭りの先陣を切って行われるため、あばれ祭の開催は能登の祭りシーズン到来を意味する。
あばれ祭は2日間にわたって開催され、普段は静かな港町に約5万人が押し寄せる。一旦地元を離れた人も、祭りを思う気持ちは強く、祭りの日ばかりは帰省すると言われている。人々はどれだけ離れていても祭りを楽しみに日々を過ごし、祭りを目指して生きているのだ。
今年は祭りを撮れない可能性大
祭りは人と人の距離が近く、大勢が密集する。大声を出したり、酒を飲み交わすことも多く、感染拡大のリスクは避けられない。祭りにかける熱い人たち(祭りの実行委員会)は、よく冷静に決断したと思うし、当事者たちの無念さは僕とは比にならないほどだと思う。
大きな祭りには全国から多くの人が訪れるため、三密(密閉・密集・密接)を避けたとしても現場は安全とは言えない。一個人事業主の僕にとって、感染・隔離となることは生活にも多大な支障が出るので、どうしても避けたいのだ。感染者が本当にゼロになるか、特効薬ができるかしないと、この状況はずっと続くのだと思う。
僕のフォトグラファー人生は祭りとともにある
初めて「あばれ祭」を見たことがキッカケで今の自分があると思っている。あばれ祭に魅了されて以来、能登半島の祭りを中心に撮り続けるようになって、能登に移り住んで、たくさんの出会いがあった。能登でできた友人の多くは、祭りで出会った人ばかりだ。「祭りへ撮りに行く=友人に会いに行く」ような感覚なので、今の状況はとても寂しいが、一フォトグラファーとして何ができるか考えていきたい。
僕自身の生計を立てていくことはもちろんだが、祭りの火を絶やさないようにWEBやSNSを通じて何かできることはないだろうか。祭りが中止となって悔しい気持ちを糧に、写真についても改めて追求していきたい。
祭りは僕らの誇りであって、財産である。